みなさんこんにちは、なんでも屋の夫です。
今回、TSUGU DESIGN様の作品集で我が家が取り上げられましたので、その内容をご紹介します。
我が家は築古の木造住宅で、家族の思い出が詰まった古民家です。
リノベーションでは単に見た目をきれいにするだけでなく、耐震性や省エネルギー性を高め、次世代へ受け継げる住まいを目指して進めてきました。
計画のポイントは大きく三つあります。
1.耐震性の向上
限界耐力計算に基づいて屋根の軽量化や耐力壁の増設を行い、腐食した柱は根継ぎや交換、蟻害のあった差鴨居は職人による手刻み加工で新しい材に取り替えました。
伝統構法の粘り強さを活かしつつ建物全体の復元力を計算しながら補強を行う「限界耐力計算」によって安全性を確保しています。
2.新旧素材の調和と再利用
新しく使用する材は紀州材を中心とした地元の木材を選び、既存部分と自然に馴染ませていただきました。
間取りは家族が集まりやすい回遊動線へ再編集し、南側仏間に使われていた天井材や欄間を北側和室に移設するなど、思い入れのある部材を可能な限り再利用。
黒檀の床柱を棚板に加工したり、祖母から受け継いだ桐箪笥を修復して組み込んだりして、世代を超えて引き継ぎました。
3.快適性と省エネルギー性
サッシや床下・天井の断熱材を最新の省エネ基準に合わせ、夏は涼しく冬は暖かい住環境を実現していただきました。
特に土壁は蓄熱性と調湿性が高く、室内の湿度を安定させて快適さに貢献します。今回は土壁の特性を活かすため、内装を左官仕上げとし、断熱性能と調和させています。
こうした工夫によって、古民家の味わいを大切にしながら現代の暮らしに合った“古さと新しさが溶け合うハイブリッドな住まい”が完成できたと思っています。
私の親家族が歩んできた時間の痕跡と、新たに刻まれる未来の記憶が共存するこの家を、ぜひご覧いただければ幸いです。