こんにちは、なんでも屋の夫です。
今回は、Exokernel ベースの KagiroiOS の 2026年2月の開発進捗をまとめます。
2月は「動くOS」から一歩進んで、Linux互換実行と観測を回せる土台を整える作業が中心でした。
✅ Spawn/RootFS/OCI import を整え、Linuxアプリを持ち込む入口が具体化しました
✅ Wayland/DisplayOS の詰まりを減らし、UIや入力の手触りも改善しました
✅ aarch64・Storage・Memory の進行性を底上げし、止まりどころを潰しました
✅ RemoteOps/MCP/trace を強化し、失敗を追える運用に寄せました
#1. 今月のテーマ: Linux互換実行と観測を回せる形へ寄せる
1月は、Apple Silicon 環境で安定して走らせるための土台固めが中心でした。2月はその続きとして、Linuxアプリを実際に持ち込み、動かし、詰まったときに理由を追えるところまで進めることを主なテーマにしました。
特に、Spawn/RootFS/OCI import といった実行の入口、Wayland/DisplayOS の進行回復、そして RemoteOps による観測経路を月を通して重点的に強化しています。
#2. Linux互換実行の入口を前へ進めた
月前半は、Linuxバイナリを KagiroiOS に持ち込んで実行するための骨格を大きく前進させました。
- Spawn ABI v2、rootfs/mount、OCI import、VFS、bootinfo mount を整備
- Linux rootfs 互換の強化と、対話実行に向けた stdin queue / TTY / route を拡張
- kagi-sh から Linux コマンドを対話実行できる経路を追加
- 月後半には Linux Forward transport と serve loop の土台も入り、実行レールがかなり具体化
まだ「何でもそのまま動く」段階ではありませんが、Linuxアプリを扱うための搬入口と運搬路が、やっとOSの中で繋がってきた実感があります。
#3. Wayland/DisplayOS の停滞を減らし、UIの手触りも改善した
2月中旬は Wayland runtime の調整にかなり時間を使いました。Hello の先で止まる、surface が生えない、DBus の活性化や buffer lifetime が噛み合わない、といった種類の詰まりを一つずつ潰しています。
- Wayland runtime の DBus 拡張と、Hello 後の connect / create_surface 回復チェックポイントを追加
- Wayland 状態同期と検証待機の誤判定を修正
- shell ready マーカー検出を安定化し、検証しやすい状態へ改善
- Noto Sans Mono、アンチエイリアス描画、Unicode グラフェムクラスタ、IME、選択範囲など UI 側の体験も強化
単に「表示されるか」だけでなく、入力したときに破綻しないか、止まったときにどこで詰まったかを判断しやすい状態を目指しているのが今月の特徴です。
ただし、Wayland実装途中で問題が多発したため、一旦中断し、他の作業を進めています。
#4. aarch64・Storage・Memory の進行性を底上げした
今月は Apple Silicon 上で継続して回せることを重視し、aarch64 周辺の進行性改善もかなり進みました。
- aarch64 の BSS クリア、物理メモリ改善、DTB/FDT まわり、secondary boot の強化
- EL1 待機中の進行性改善、page fault/OOM 観測、Linux ページサイズと ELF アラインメントの 4KiB 統一
- Storage completion の公開、completion drain/flush、blockdev retry 強化
- wait / yield / IRQ / キャッシュ整合性まわりの不安定要因を継続的に解消
目立つ派手さはありませんが、「たまに動く」から「継続して検証を回せる」方向へ寄せるには、この種の修正が不可欠でした。
#5. RemoteOps と観測を強め、失敗を追えるOSに寄せた
2月は、機能そのものだけでなく、壊れたときに外から追いかける道具づくりも大きく進みました。
- RemoteOps Query API v2 と Timeline API を実装
- MCP autonomy tools を追加し、intent / capability / skill / execplan を扱えるように拡張
- trace_id 付き runtime_status 伝搬、diag.persist、episode、evidence 系を追加
- RemoteOps / Wayland probe と失敗時観測を強化
OSを作るだけでなく、失敗を追いかけるための道具も同時に作らないと前に進めないので、その意味で2月は観測面の前進がかなり大きかったです。
#6. 仕様と運用を fail-closed に寄せた
月後半は、設計と実装のズレを減らし、改善ループそのものを運用しやすくする作業にも注力しました。
- ABI 型の SSoT 化と abi-docs コマンドを導入
- design v2 に合わせた syscall / entry / CI を更新
- docs refresh と 2026 redesign proposal を進め、仕様の現状追従を強化
- typed gate、gate explain / capabilities、fault injection、improvement-eval など fail-closed 運用を拡張
2月は、機能追加だけでなく、「どう壊れるか」「どう改善を閉じるか」を仕様として扱う方向にかなり踏み込んだ月でもありました。
#7. まとめと3月に向けて
- Linux互換実行の入口と transport が具体化し、OS内で扱う現実味が増した
- Wayland/DisplayOS の停滞を減らし、UI と入力の品質も前進した
- aarch64・Storage・Memory の進行性改善で、継続検証の土台が厚くなった
- RemoteOps / MCP / trace により、失敗を追える運用へ近づいた
3月は、ここで整えた Linux互換実行と観測の基盤を使って、より実際にアプリを動かしながら、改善ループを短く回せる状態へ進めていきたいと思います。